香りの“ちょうどよさ”は、人間基準で決めない
私たちの嗅覚で感じる「いい香り」「ほのか」「気にならない」。犬や猫と暮らすとき、ここは少し疑ってかかりましょう。彼らの世界は、私たちより“匂いの情報”がずっと大きい――この前提を知っているだけで、動物との快適な暮らしを描くのにきっと役立ちます。
まず犬について。
VCA Animal Hospitals(VCA動物病院)は、犬には鼻腔内に「1億以上の嗅覚受容体(においを捉える受容部位)がある」と説明し、人間は約600万だと述べています。さらに、匂いを分析する脳の領域は人間の約40倍で、犬は人より「1,000~10,000倍」嗅ぎ分けられると推定されている、とも。つまり、私たちが“ほんのり”と感じるものが、犬にとっては「情報量たっぷり」に立ち上がっている可能性があります。
次に猫。
猫は「匂いの世界」で生きている動物です。VCAは、犬も猫も人間よりはるかに多い嗅覚受容体を持ち、猫も「2億以上」の嗅覚受容体を持ちうると紹介しています。さらに猫には、Jacobson’s organ(ヤコブソン器官/鋤鼻器官)と呼ばれる“もう一つの嗅覚システム”があり、特定の化学シグナルを感じ取る助けになる、とVCAは解説しています。私たちには同じ感覚がないぶん、「わからないけれど確かに何かを感じている」――そんな領域が猫にはある、と考えるほうが自然です。
ここまで聞くと、少し身構えてしまうかもしれません。でも私たちは、怖がらせたいのではありません。言いたいのはただ一つ。香りや刺激の“ちょうどよさ”は、人間基準で決めない方がいいということです。食べ物の匂い、部屋の匂い、洗剤や柔軟剤、ルームフレグランスや香水――私たちには心地よくても、犬猫には刺激が強すぎることがあります。匂いが強いほど「よく効きそう」に感じるのは、人間の都合かもしれません。
犬や猫が過ごす世界を、少しだけ想像して暮らしを選びたいですね。
出典
- VCA Animal Hospitals(VCA動物病院)「How Dogs Use Smell to Perceive the World」
- VCA Animal Hospitals(VCA動物病院)「Nose Smarts: What Pets Can Tell With Their Sense of Smell」
- VCA Animal Hospitals(VCA動物病院)「Why Cats Sniff Butts」